司法書士さくら夙川事務所

事業承継の準備は?司法書士が解説する手順と注意点

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事業承継の準備は?司法書士が解説する手順と注意点

事業承継の準備は?司法書士が解説する手順と注意点

2024/07/02

事業承継は、中小企業経営者にとって身近な問題です。しかし、事業承継を考え始めた時点で、問題が浮上することも多く、過去の例として承継不可能となるケースも散見されます。そこで、今回は司法書士が事業承継の準備について、手順と注意点を解説します。

目次

    事業承継とは何か?

    事業承継とは、経営者の交代や死亡などのタイミングで、企業の経営権を移転することを言います。中小企業の事業承継は、親族承継と第三者承継(従業員や社外の第三者)に分かれると思いますが、様々な問題が複合的に絡み合うため、問題の整理が大切であると考えます。ご相談者様から「会社の代表者を変更したい」というご相談があり、よくよく聞いてみると代表者が保有している株式を譲って経営を譲渡したいケースなどもあり、代表者の変更くらい、簡単に考えておられる方もいらっしゃりそうです。代表者の変更は、保有する株式の権利を譲渡すること、借入がある場合、おそらく経営者が連帯保証等になっているでしょうから借入金の連帯保証人を変更すること、会社の資産と個人資産が混ざっている場合は、会社資産から個人資産への権利の整理、退職金の給付など、様々な問題が法律の税務の面と生じるため、事前に準備をした上で実行することが求められます。

    司法書士が関わる事業承継は?

    事業承継というと、一般的には株価対策、となることが多いように思います。経営者、つまりオーナーが変わることを最終目的とするため、非上場株式の評価を行い、相続税の課税の有無や、第三者承継の場合は株式の譲渡価格の算定をする、という具合です。中小企業は、代表者個人の資産と会社の資産が入り混じっているケースが非常に多くあります。特に不動産については、個人の土地の上に会社名義の建物が建っている場合や、会社名義の不動産に経営者が社宅扱いで居住しているケースなどです。経営権を移しますので、その個人資産と会社資産の関係性の解消を行う必要があります。そこに金融機関の抵当(担保)が絡んでいる場合はなおさらです。また事業承継の手法は会社の現状によってさまざまな形が考えられます。単純に株式を譲渡する場合、会社を2つにわける場合(会社分割)、逆に会社をくっつける場合(合併)、欲しい事業だけ買う場合(事業譲渡)。これらは会計、税務回りの問題はもちろん、法律、形式的な登記手続きを伴います。われわれ司法書士は、会社法にも、民法にも精通しております。会社に関連すること、個人の相続に関連することを整理してアドバイスすることができる存在であると自負しております。

    事業承継の準備手順とは?

    事業承継をするにあたり、まずは会社の貸借対照表の整理を行う必要があります。貸借対照表の整理は現実の会社の決算書の整理は当然ですが、帳簿に記載がない、現実的な会社の状況を明らかにする必要があります。預金については個人的な支出と分かれているか、現金は実際に会社に残されている現金と一致するか、売掛金の中で回収不能の債権は存在していないか、商品は実際に売却できるものか、不良在庫は残っていないか、等々です。これらプラスの資産は当然、マイナスの財産の詳細を確認していく必要があります。特に銀行借入金については経営者の個人保証がついているかどうか、高額の役員借入金や給料の未払金が残っていないかなどです。また帳簿に表示されていないものとして、従業員に対して、未払残業代等を請求されるリスクがどれほどあるか、これまでの税務申告において税務調査が入ったときに調査官から指摘をされ、追徴課税をされるリスクがどれほどか、というような会社に潜む潜在的なリスクがどれほどかを明らかにします。会社の実情が数字上、法律上明らかになった上で、会社のどの部分を承継したいのか、どのような方法で承継するのか、を検討していきます。

    事業承継の注意点とは?

    注意点は、事業承継の手法によっても様々です。親族承継なのか、第三者承継なのか、によって注意すべきポイントは異なりますが、いずれの場合も言えることは、承継した後も承継前と変わらず事業を継続していけるかどうか、従業員が継続して勤務続けてもらえるかどうか、という点です。これからの日本において、労働者の確保というのはいずれの事業者にとっても非常に重要なポイントです。良い商品・良いサービス、良い顧客がいたとしてもそこで働く従業員がおらず、良いサービスを提供できる状況になければ、事業を継続することができません。M&Aというキャッチ―な言葉が一人歩きしており、手数料ビジネスを求めるM&Aの紹介会社が数多く参入しておりますので、事業承継における数字のこと、法律のこと、実際の会社経営に関する会社内の仕組みについてアドバイス、サポートができるプレイヤーがどこまでいるのか、非常に懐疑的に感じています。われわれ司法書士が全てを担えることはないかも知れませんが、司法書士の公平性と誠実さは事業承継において1つの確かな視点になりますので、事業承継をご検討されている、若しくは提案を受けられた場合は、セカンドオピニオンとして司法書士へのご相談もご検討ください。

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