司法書士さくら夙川事務所

遺産相続で知っておくべき財産分け方と相続税のポイント

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遺産相続で知っておくべき財産分け方と相続税のポイント

遺産相続で知っておくべき財産分け方と相続税のポイント

2024/06/19

誰しもが必ず訪れる相続。その時、残した遺産をどう相続するかという問題があります。財産分け方によっては、家族間でのトラブルや法律問題に発展することもあるため、しっかりと理解しておきたいものです。また、相続には税金がかかるため、相続税のポイントにも注意が必要です。今回は、遺産相続について、財産分け方と税金のポイントについて解説します。

目次

    相続財産の分け方の違い

    相続財産には、不動産、預貯金、株式、現金、自動車などの現物の資産があります。またプラスの財産だけではなく、マイナスの財産もあります。住宅ローンやアパートローン、未払いの入院費用、葬儀費用などです。この財産をどのように分けるか、を話し合うことが遺産分割協議です。遺産分割の方法は大きく3つあります。「モノ」を分ける現物分割。これは実際に不動産を2分の1ずつわける、A銀行の預金は長男、B銀行の預金は次男、といった具合です。次に換価分割。不動産を売ってお金を分ける、株式を売却してお金で分ける、という分けやすいお金に換えて分けるという方法です。最後に代償分割。不動産はすべて長男が相続する、その代わりに次男にお金を長男から支払う、という分け方です。いずれの方法による場合も、遺産分割協議書という書類を作成し、全員が実印を押印します。具体的に名義変更に使用する場合は、それぞれ押印した人の個人印鑑証明書が必要です。

    相続人が置かれる状況による分け方の違い

    相続人が置かれる状況によって、相続財産の分け方は異なることになります。例えば、長男の自宅が亡くなった父親が所有する土地の上に長男名義の自宅を住宅ローンを利用して建てる場合。自宅の底地である土地を長男以外の相続人が引き継いだとしても活用できないため、おのずとその土地は長男が引き継ぐ必要がありそうです。そんなときはその土地の価値を数字(お金)に換算し、他の相続人に相続分に見合う金銭を渡さないと全員の合意が取れない場合があります。また主だった財産は亡父母が居住していた実家だけ。子供たちは全員持ち家を持っており、誰もその不動産に居住しない場合は、おそらく売却してお金を均等に分けようという協議内容になるでしょう。現実に合わせて分け方を決めていただけばよいのですが、その時必ず配慮しなければならないのは税金等の問題です。

    相続税の申告の仕方と計算方法

    ここで相続税について触れてみたいと思います。 相続税の計算方法は、亡くなった人が残した財産を相続税基本通達が定めた方法により数字(お金)に変え、マイナスできる財産、例えば死亡生命保険やお墓仏壇仏具、亡くなった方が組んでいたローンなど借入金を控除し、さらに基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を引き、それでもプラスの数字であれば税金がかかってきます。その正味課税財産を法定相続人の数で割り、その額を国税庁が示す相続税の税率に当てはめて計算することで、遺産に対する相続税の総額が算出できます。相続税は亡くなった日から10か月以内に申告する必要があります。10か月遺産分割協議が成立している場合は、その遺産分割協議で決まった財産を引き継ぐ割合に応じて計算、仮に遺産分割協議がまとまらない場合は、法定相続分で相続したとして期限内に申告し、遺産分割成立後修正申告を行う必要があります。遺産分割協議が成立していることで受けられる特例、例えば、小規模宅地の特例等、がありますので、遺産分割協議が死亡後10カ月以内という申告期限内に整うかどうか、が大きなポイントになります。

    遺産分割協議の内容と税金

    申告期限内に分割協議が成立するか、つまり誰がどの遺産を引き継ぐかによって、相続税の計算は大きく結果が異なります。相続税額を大きく左右するポイントで言えば、小規模宅地の特例と配偶者控除が挙げられます。小規模宅地の特例は亡くなった方が、自宅で使っていた土地、事業(会社)で使っていた土地、貸付事業(アパート経営など)で使っていた土地について、その評価を5割から8割下げるという規定で、不動産に関するもので、減額される額も高額になることがあるので、税金上の計算では非常に大きな制度になります。また、配偶者控除は、配偶者が相続する場合、財産の2分の1以下または1億6,000万円までは非課税になる規定です。これも相続税の申告の際によく利用されます。繰り返しですがこれらの規定は遺産分割協議が成立していること、相続税の申告をすること、が要件になりますので、遺産分割協議を相続人間で成立するということは、相続人にとっては非常に大きな問題です。

    弁護士や税理士に相談するメリット

    遺産分割で気を付けたいポイントは他にもあり、1つは納税資金が十分かどうか、という点です。相続税が課税されない場合は考慮する必要はありませんが、10か月以内に遺産分割協議を整えて申告する際には納税も期限内に行う必要があります。その納税資金がなければ、延納や物納といった方法を検討しなければなりません。延納は利息が高いこと、物納は物納できる財産が限られていることから、簡単に選択できる方法ではなく、前もった準備が必要です。また換価分割を行う場合で不動産を処分することを考えている場合、その売却時に課税される譲渡所得税のことも考慮する必要があります。相続税にルールがあるように譲渡所得にはまた別のルールがあるため、相続税は抑えられていたのに、結局譲渡所得税を高額に納税する分け方をしてしまった、という事例もあり、相続人と専門家がトラブルになるというケースがあります。遺産分割協議は単に財産分けを行う行為ですが、様々な付随する問題があるので専門家のご意見を聞いていただくことをお勧めいたします。

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