司法書士さくら夙川事務所

遺言書の書き方と注意点【司法書士が解説】

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遺言書の書き方と注意点【司法書士が解説】

遺言書の書き方と注意点【司法書士が解説】

2024/06/24

遺言書とは、自分の死後に自分の財産をどのように分配するかを記載した書類のことを指します。遺言書は、遺産分割に関するトラブルを回避するために役立ちます。遺言書には主なもので3種類の方法があります。この記事では、司法書士が遺言書の書き方と注意点について解説します。

目次

    1. 預金額は記載しておくべき?

    遺言書に預金の具体的な額までは記載する必要はありません。なぜならば残高を超える部分については未分割の財産として遺言書の効力が及ばない財産となってしまいます。遺言書に記載するのは銀行名と支店名。もし仮に支店が統廃合により遺言者が死亡したときに無くなっていた場合も手続的に、権利的に問題になることはありません。万が一、銀行自体が倒産してしまっていた場合は、遺言の該当箇所は無効になりますので、「その他の預貯金を相続させる。」というような記載をしておくべきと考えます。「●●銀行●●支店の口座を配偶者に相続させる。」という書き方や、「●●銀行●●支店の口座の2分の1を配偶者に相続させる。」という記載もできます。代償金を負担させるように、「●●銀行●●支店の口座を配偶者に相続させる。その代わりに配偶者は長男に対して、金●●円を支払う債務を負う。」というような書き方も考えられると思います。

    2. 遺言書を書く際の注意点

    また「誰に」相続させる、という書き方は一般的ですが、「誰に」をどのように特定するか注意が必要です。その誰かがご自身の親族の場合、続柄と生年月日で特定することが望ましいでしょう。「配偶者の●●」といった書き方です。注意したいのは親族ではない第三者に亡くなったあと財産を渡したい場合、遺贈、と言いますが、その場合は書き方に工夫が必要です。一般的には氏名、住所、生年月日で人物を特定しますが、その財産を受け取る人を誰も知らない場合、住所は住民票を移転して5年経過すると役所で廃棄され、住所が辿れなくなります。現実的に受け取る方の連絡先等を知らない場合、遺言書とおりに残すことができなくなります。ですので、第三者に遺贈したい場合は、氏名、住所、生年月日の他本籍地を記載しておきましょう。本籍地を書いておけば戸籍の附票という書類があり、附票には住所の変遷が記載されますので、現在の住民票をおく住所までたどることができます。

    3. 遺言執行者のこと

    遺言書は、亡くなった後の財産分配や遺産相続に関する文書です。遺言書を書く前に、まずは自分の財産状況を整理する必要があります。財産の種類やその価値などを明確に把握することで、遺言書の作成がスムーズに進みます。また、遺言書には誰が相続人になるかを記載することが必要です。この相続人については、家族や親族だけでなく、友人や団体に指定することも可能です。そして、遺言書を書くうえで重要なのが、法的な知識です。遺言書には法的な要件がありますので、司法書士など専門家に相談することをおすすめします。遺言書は、自分の人生を振り返り、周囲の人々に思いを伝える大切な文書です。しっかりとした準備をして、家族や親族、友人たちに残してあげましょう。

    4. 清算型遺贈について

    遺言書において、「不動産を売却、換価換金して、その金銭を相続人に●分の●ずつ相続する。」という形式の遺言があります。これを清算型遺贈と言い、売却したお金を分けるという形式になります。ここでも注意したい点が2つあります。まず1点目が精算型遺贈の場合、不動産の売却を遺言執行者が行うことになりますが、登記手続きとしては一度相続人が法律どおりの持分で相続したとして相続登記を行い、その後不動産を購入した実際の買主に移転することになります。したがって登記上の所有者は法定相続人になるため、不動産を売却したことにより課税が発生する譲渡所得も法定相続人に対して課税が発生します。清算型遺贈を行い、売却したお金を相続人ではない人に残す場合や、相続人間で売却代金の受け取る割合が異なる場合は注意が必要です。

    5. 遺言書の重要性

    遺言書は、自分の死後に遺したい財産や遺志を示した書類です。せっかく自分の死後相続人がもめないようにするために残す遺言が不完全なものであり、それが原因で家族が揉めるということがないように、遺言書に何を書くかはしっかり検討してもらいたいと思います。思わぬ落とし穴がある可能性がありますので、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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