司法書士さくら夙川事務所

相続登記義務化と過料 相続手続きのポイント

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相続登記義務化と過料 申告登記のポイント

相続登記義務化と過料 相続手続きのポイント

2024/06/15

不動産登記法が令和6年4月1日から改正されました。相続登記手続きが、新たに義務化と罰則(過料)の対象となっています。本記事では、相続登記の義務化や過料について解説し、相続人申告手続きにおけるポイントをまとめてご紹介いたします。

目次

    相続登記が義務化された背景とは

    相続登記が義務化されたのは、日本の所有者不明土地が九州地方の面積くらいまで広がっているということがあげられると考えます。日本では人口減少が進み、出生率も1.2まで減少しています。こうした過去に比べると状況は変わってきているのにも関わらず、法律は制定されたときの硬直的なものになっていました。相続登記は任意とされていましたし、我々司法書士の専門性を守るためなのか、登記手続きは煩雑です。こうした変化に対して少しでも社会変化に対応し、不動産が開発できないことから起こる荒廃を止めるために法律を整備し、相続登記を義務化したのだと考えています。

    相続義務化で注意すべきポイントとは

    まずはじめに期限ですが、自分のために相続があったことを知り、所有権を取得したことを知った日から3年間です。また上記と別で遺産分割協議が成立した場合にはその結果を不動産登記においても反映させることが求められることになりました。その点いくつか実務的に場合分けがされますが、相続発生して3年以内に遺産分割協議が成立した場合は遺産分割協議に基づき相続登記を行う。3年以内に遺産分割協議が成立しなかったケースは、まず法定相続分での相続登記を行うか後記に記述する申告登記の申し出を行う必要があります。遺産分割がその後成立した場合はそれに基づいて登記申請を後日行うことになります。もし遺産分割が紛争等により成立しなかった場合どうなるかは、次の項目で述べたいと思います。

    相続登記をしない場合は?

    義務に違反した場合は過料が課せられます。相続登記がされていないことを知った登記官はその旨を地方裁判所に通知し、地方裁判所が過料決定を行う判断をいたします。ただし、登記官は裁判所に通知する前に、対象者に対して催告、つまり相続登記を行ってくださいという連絡をして、正当な理由なく対応がされない場合に裁判所に対して通知を行う、となっています。それでは正当な理由とは何か。①相続人が多数で戸籍収集をして相続人の把握を行うことに極めて時間を要する場合、②遺言の有効性や相続財産について争いがあり、帰属主体が明らかでない場合、③相続登記申請を行う登記義務がある者が重病等の事情がある場合、④登記義務者がDVの被害者等で避難を余儀なくされている場合、⑤経済的に困窮しているため、登記に必要な費用を負担する能力がない場合、と具体的に示されています。またそもそも登記官が相続登記を怠っていると認識することはどのような状況で起こりえるのか、というと、①遺言書の記載から判明する、②遺産分割協議書から判明する、という2点が具体的に上げれられています。運用の統一性、公平性と国民の納得感を確保することが配慮されていますので、過去の相続登記が放置された不動産に対して、過料が課せられるのかは現時点では明らかではありません。

    過料を免れるために

    過料を免れるために、相続登記を行わずに相続人申告登記という制度が新設されました。申告手続きは相続登記に比べると非常に簡略化されています。例えば、申出をされる方の住民票は生年月日と氏名のフリガナを提供することで法務局が住基ネットに照会をして確認をしますので、添付の必要がありません。また登記上の所有者が被相続人であることを示すため、通常であれば同一人性を証明するために、被相続人の住民票の除票、戸籍の附票などを添付する必要がありますが、被相続人の死亡日から数十年と年月が経過しており、取得ができない場合は、上申書という「所有権登記名義人と戸籍謄本等に記載された被相続人は同一である」という旨の書類と印鑑証明書の提供で受付がなされることになりました。また申告登記の申請書には押印の必要なく、申出は非課税であるため、過料を避けるために申告登記という制度があることをご認識いただきたいと思います。

    相続手続きの達人に聞く!スムーズな手続きのコツとは

    相続登記の義務化にかぎらず、昨今急激に進む少子化、人口減少、システムの発展等により、法律の改正も目まぐるしく、私達の業界でも大きな変化が起こっています。この義務化は単に税金収入をあげるという狙いではなく、日本の国土、不動産を有効に活用できる状況にして、地域経済、地方整備がスムーズに進められるために施行された法律と考えられます。「めんどうだから」「お金がかかるから」という個人的な理由ではなく、これからの社会、日本全体のために、不動産を有効に活用して地域経済を停滞させないためにも登記や相続人申告登記のことをご理解いただき、1人1人で地域を守っていくことができればと願っています。相続のことは私達さくら夙川事務所にお任せ下さい。

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