司法書士さくら夙川事務所

自筆証書遺言の書き方完全ガイド

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自筆証書遺言の書き方、注意点

自筆証書遺言の書き方完全ガイド

2025/08/29

自筆証書遺言について2019年に施行された相続法によりルールが変わり、従前より残しやすく、使いやすくなりました。遺言書は、自分の亡くなった後のことに関して自分の意思を明確に伝えるための重要な手段ですが、書き方や残し方にいくつか注意点があり、間違った形式で残してしまうと法的効力を失う可能性があります。本ブログでは、失敗しないための具体的なポイントや注意事項を詳しく解説します。司法書士としての経験に基づき、分かりやすく必要な要素を整理し、法的な観点からの正しい記述方法や注意すべき点をお伝えします。

目次

    自筆証書遺言とは?その重要性と基本知識を知ろう

    自筆証書はいくつか要件があります。遺言者本人が遺言書の全文、日付、氏名を自書(手書き)し、押印することが民法で定められています。他人の代筆やパソコン・ワープロで作成したもの、録音・録画によるものは無効です(パソコンで作成したものを利用できるのは秘密証書遺言)。改正された相続法では、遺言書に添付する財産目録については自書でなくてもよくなりました。パソコンで打ち込んだり、登記簿や銀行通帳のコピーなどを利用することができるようになりました。ただし、その目録の各ページに遺言者の署名押印が必要です。注意点としては両面記載の場合は、両面ともに署名押印が必要です。また、自筆証書は誤記した場合の修正の要件が形式的に定められています。遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記して、特にこれに署名し、且つ、変更の場所に押印を押す必要があります。言葉で書くと複雑ですが、変更するときは簡単に二重線で引いて上に判を押せばよい、というわけではないことを覚えておいてください。もしきちんと修正されていない場合でも、明らかな誤記の訂正については、前記のとおりの所定の方式と異なる方法であっても、その修正方法の間違いだけをもって遺言の効力に影響を及ぼさないとされています。

    筆証書遺言の保管と検認

    通常の自筆証書の場合は、遺言者の死亡後、遺言書の保管者は開封せずに家庭裁判所で検認手続きを受ける必要があります。ただし、2020年から始まった法務局の保管制度を利用した場合は検認不要です。検認は遺言書の偽造・変造防止や保存のための証拠保全手続きであり、遺言の有効・無効を判断するものではありません。自筆証書遺言は簡便で費用もかかりませんが、紛失や偽造・変造、発見されないリスクがあります。なぜなら、遺言書は実際に手書きで書いたもの1つだけ、保管方法も定められていないので、遺言書が出てこない、都合が悪いものは隠されたり書き換えられたりする可能性がありました。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用することで、これらのリスクを軽減できます。

    自筆証書遺言の具体的な書き方を解説

    実際に自筆証書遺言には、どのように書けばよいでしょうか?基本的には「私の●●(「何を」ex.不動産)を●●(誰に)に相続する、という表現がよくつかわれます。相続するではなく、譲る、渡す、という表現でも不動産の名義変更は受付られます。「何を」の部分ですが、基本的にはその財産を特定できる事項(ex.不動産なら登記簿の情報、銀行口座、預金口座番号、証券会社の銘柄、口座番号など)を正確に表記することが好ましいと存じますが、「兵庫県西宮市御茶家所町の不動産は」といった正確に所在まで示していない場合も広く受付され、手続きができます。財産目録が別でつけられることになりましたので、「財産目録●ページの財産」など表記を目録に譲ってもよいでしょう。相続人ではない人に渡す場合は、遺贈する、が好ましいですが、相続するでも善意的に解釈されて手続きできるようです。

    自筆証書遺言の保管制度を利用する際の手続きや注意点

    遺言書の保管制度についても少しポイントに触れておきます。

    まず遺言書を作成し、完成した遺言書を管轄の法務局に持参します。法務局の管轄は①遺言者の住所地②本籍地③所有不動産所在地のいずれかを管轄する法務局で訪問前に事前予約が必ず必要です。法務局には必ず本人が出頭する必要があり、代理申請は認められません。保管にあたり申請書の作成が必要です。持ち物としては、無封の遺言書、本人確認(個人番号カード、運転免許証、旅券、在留カード等の本人確認書類)が必要です。保管申請が受理されると、保管証が交付されます。幾分か手数料もかかります。保管後の手続きとしては、遺言者があらかじめ申し出ておけば、遺言書保管所が戸籍担当部局からの連絡を受けて遺言者死亡の事実を確認したときに、遺言者が指定した人1名に対して遺言書保管の事実を通知されます。遺言者の死亡後であれば、相続人は法務局で閲覧や遺言書情報証明書の交付を請求できます。相続人が閲覧や証明書取得を申請すると、法務局から全相続人に遺言書保管の通知がなされます。具体的な相続登記の手続きは、遺言書情報証明書を登記申請に使用することで行うことができます。保管制度を利用した場合、家庭裁判所での検認手続は不要です。

    保管後の注意点としては、遺言者の氏名・住所等に変更があった場合は速やかに届け出る必要があります。また、法務局は遺言書の内容や有効性を審査しません。方式不備があれば無効となる可能性があるため、作成時は法的要件を厳守することが重要です。他にも遺言内容が不明確な場合や遺言能力に疑義がある場合は、後日紛争の原因となることがあります。保管後も遺言書の閲覧や保管申請の撤回はできます。

    保管制度を利用した場合、家庭裁判所での検認手続は不要です。

    方式不備による無効、遺言能力の欠如による無効、内容が不明確・要領を得ない場合の無効、加除訂正の方式違反等が挙げられます。そのうちよくあることが方式不備による無効です。例えば、遺言書の全文、日付、氏名を遺言者本人が自書(手書き)していない場合、他人の代筆やワープロ・パソコンで作成するのは財産目録以外は認められていません。他にも押印がない場合、日付が記載されていない場合や、財産目録を添付する場合で各ページに遺言者の署名押印がない場合などです。添付書類(財産目録など)が自書でない場合、署名押印がなければ無効となってしまいます。遺言者が認知症などで遺言能力(自分の財産や相続人を理解し、意思表示できる能力)がない状態で作成した場合も遺言は無効となります。

    遺言の内容が不明確で、誰に何を遺贈するかが特定できない場合、遺言の効力が認められないことがあります。記載内容が要領を得ず、遺言の趣旨が判然としない場合も無効となる可能性があります。ですので、前述したように、「何を」「誰に」「どうするか」(この部分は相続するでOK)を明確に記載する必要があります。

     

     

    遺言を書くべきタイミング

    自筆証書遺言はいつ書くべきなのか。ここまで言及してきたとおり、保管制度ができ、目録などをパソコンで作ることができるようになったため、遺言書は残しやすくなっています。公正証書遺言は経済的な負担が生じるため、何度も作るものではないイメージがありますが、自筆証書は都度自身の資産を整理し、自分がまだ動けるうちに法務局に保管して、管理をしていくというのが、賢い選択と言えそうです。相続人の方にあらかじめ伝えておかなくても、届け出を行えば法務局から相続発生時に郵便により、遺言書の存在が通知されますので、以前の自筆証書の致命的な弱点であった遺言書が見つからない、出てこないといったことは生じにくくなっています。介護施設に入るタイミングだったり、財産に大きな変動があった場合など自分の考えがまとまるうちに、自分でしっかり書くことができるうちに遺言書を残しておくことがよいでしょう。

    自分の大切な財産を守るために、実行に移すステップ

    自筆証書遺言を作成する際は、正確な手順を理解し、実行することが重要です。まず、自身の財産状況を明確に把握しましょう。財産をしっかり把握すれば、相続税の課税がどうなるのか、予測することができますので、より遺言書をどのように書けばよいのか、はっきりしてきます。また、可能であれば、相続人に対してこれまで行ってきた生前贈与や、名義預金といった財産の移譲がある場合にも明らかにしておきましょう。遺言書を作ることで遺留分が解消されるということにはならないので、むしろ特定の相続人に行った贈与等は特別受益として、遺留分において問題になることがあります。多少の相続人間において多い少ないがある場合には、なぜそのような差をつけるのか、動機を明らかにしておきましょう。いわゆる附言事項と言われる内容です。本来自分の財産の使い道は自分が決めるものです。残す側の意向、なぜこのような遺言にしようと思ったのか、何かしら意図と理由があるはずです。なぜそのようにするのか、そのときの感情はどのように感じていたか、を綴ることで残された相続人に伝わりやすくなります。

    揉める、揉めないにかかわらず、自分の人生の最後に家族の皆様にメッセージとして遺言書を書いてみることをお勧めいたします。私の父も遺言書を書いてくれていたので、家族が穏やかに見送り、財産の引継ぎができました。不器用な父でしたが、父の考え方は父の残した遺言書で伝わってきたように感じています。

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