司法書士さくら夙川事務所

相続放棄の申立てと手順解説

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相続放棄の申立てと手順解説

相続放棄の申立てと手順解説

2025/07/21

相続放棄は、故人の遺産を受け取ることを辞退する重要な手続きです。本ブログでは、相続放棄の申立てに関する基本情報から、具体的な手順、そして申立て後に注意すべきポイントまで詳しく解説します。相続放棄を選択する理由はさまざまですが、主に借金が遺産に含まれている場合や、遺産の管理に関する負担を避けたいといったケースが一般的です。申立ては複雑に感じることもありますが、適切な手順を踏むことでスムーズに進めることが可能です。法律的な知識だけでなく、実務に基づいた具体的なアドバイスを提供しますので、相続放棄を考えている方や、司法書士としての知識を深めたい方にとって、役立つ情報をお届けします。

目次

    相続放棄の重要性を理解する:遺産を受け取らない選択の背景

    相続放棄とは、相続人が被相続人の財産(プラスの財産・マイナスの財産を含む)を一切承継しないことを選択する手続です。相続放棄は、「相続の開始を知った日」から3か月以内に家庭裁判所に申述することで行います。相続放棄をすると、法律上は「初めから相続人でなかったもの」とみなされ、被相続人の権利義務を一切承継しません。ただし、相続放棄の申述が受理されても、一定の条件下で相続財産の管理義務が残る場合があります。

    本コラムでは、相続放棄の手続及び相続放棄が認められた後、どのような注意点があるかどうか、整理して参ります。

     

    手順の第一歩:相続放棄申立を行う理由とは

    相続放棄は、故人の相続人でなくなる行為です。相続放棄が選択される理由としては、被相続人に借金がある場合、被相続人と生前に関係が希薄で相続財産が明確でない場合、感情的な問題で相続に関与したくない場合などです。相続放棄をすると法律上、相続人ではなくなりますので、財産を相続する権利、債務を支払う義務等がなくなります。では相続放棄を行えば、何もしなくてもよいのでしょうか。相続放棄をしたあとどのような義務があるのか、どのようなことはできないのか、整理したいと思います。

    相続放棄者が認められない事実行為の例

    相続放棄をした者は、原則として「初めから相続人でなかったもの」とみなされますが、相続財産を現に占有している場合には、次の管理者(相続人や相続財産清算人等)に引き渡すまで、その財産の保存義務(管理義務)を負います。ただし、この管理義務は「保存」に限られ、相続財産の処分や積極的な管理行為(換価や契約解除等)は認められていません。したがって、相続放棄者が行うことができるのは、財産の毀損・逸失を防ぐための保存的行為にとどまります。相続放棄者が認められない主な事実行為の例としては、賃貸借契約の解除、葬儀費用の支出、未払医療費の支払い等です。これらの行為は保存行為を超える処分・管理行為に該当し、相続放棄者には認められず、行為そのものが単純承認行為としてみなされる可能性があります。

    相続放棄後の手続き

    相続放棄をした者であっても、放棄の時点で被相続人の財産(例:通帳や賃貸借契約中のカギなど)を現に占有している場合には、次の者(他の相続人や相続財産清算人等)に引き渡すまで、その財産を自己の財産と同一の注意をもって保存・管理する義務があります。この義務は、民法940条に基づき、相続放棄者が現に占有している財産に限られ、その保存(毀損・逸失を防ぐ等)にとどまります。義務の終期は、財産を新たな相続人や相続財産清算人に引き渡した時点です。管理義務の内容には、管理状況の報告や、管理経過・結果の報告、受領した金銭等の財産の組み入れなどが含まれます。管理のために支出した費用の償還請求や、負担した債務の弁済請求も可能です。管理義務の発生の条件としては、「占有している状態」ですのて、被相続人の財産を実際に管理・占有していない場合には、管理義務は生じません。

    相続放棄後に気をつけるべきポイント:相続財産管理人は選任しなければいけない?

    相続人全員が相続放棄をし、次順位の相続人もいない場合には、相続財産の管理をする者がいなくなります。この場合、相続財産は誰が管理をするのでしょうか?この場合相続財産は、家庭裁判所が選任した相続財産管理人が管理することになります。上記の記述のとおり、相続放棄を行った、被相続人の通帳を保有する相続人だった者は、相続財産管理人の選任申立てをしなければ管理義務を免れることができない、ということができます。相続財産管理人の申立てには高額の予納金が必要になりますので、相続財産管理人の申立てを行わない限り、管理義務が継続することになります。相続財産管理人の選任申立ては、利害関係人や検察官も行うことができます。相続放棄者が占有しない場合は、管理義務も生じず、相続財産管理人選任申立て義務も生じないとされています。そもそも、相続放棄をした者が通帳等財産を占有している場合、相続財産管理人の選任が法律で義務付けられているわけではありません。

    相続放棄者が財産を占有していた場合の管理義務について

    相続放棄をした者が現に占有している相続財産については、民法940条により、相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産と同一の注意をもって保存しなければならない義務(管理義務)を負います。この義務は、現に占有している財産の保存に限られ、積極的な処分や管理行為は含まれません。相続放棄者がこの管理義務を怠り、相続財産が毀損・逸失した場合、次順位の相続人や相続債権者、相続財産清算人等の利害関係人に対して損害賠償責任を負う可能性があります。例えば、相続財産である建物の管理を怠り、第三者に損害(例:倒壊による通行人の怪我等)を与えた場合、損害賠償請求を受けるリスクがあります。また、管理義務違反により相続財産の価値が減少した場合、相続財産清算人等から管理義務違反を理由に損害賠償請求を受けることも考えられます。ただしこれは占有している場合に限られるため、占有していない建物が倒壊等したことで通行人などの第三者にけがを負わした場合などには損害賠償の責任は発生しません。

    相続放棄に関するまとめ

    相続放棄の申立ては、故人の財産や負債を引き継がずに済む大切な手続きです。相続放棄を行うことで相続という関係性から外れ、相続放棄をした者の子供など相続関係から離脱することができます。しかし、相続財産、通帳や不動産を占有する場合は、それを占有する義務が生じたり、また保存行為のみが許されるので賃貸借契約の解除や債務の支払いなど、積極的に行う行為と自重すべき行為があります。相続人が存在しない相続財産は相続財産管理人によって適切に処理される必要があり、相続財産に不動産などが含まれれている場合には財産を放置することなく、適切に最後まで処理できる状況に置くことが必要です。色々な家族の形がありますので、関与されたくない、というご相続人の方がいらっしゃるケースもまれではなくなっていますが、司法書士として寄り添って適切なアドバイスを提供できるよう努めて参ります。

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